借り物の人生

どんどん今が過去になっていって、未来すら過去のように思える。過去は不可視な箱で、中にある思い出という物体は他人のものじゃないかと思えて笑う。それも一瞬で、何がしたかったんだろう問うて、そもそもしたいことなんて無かったんだと子供のように喚き散らして目を覚ます。嘆きの白が部屋に響いている。

いつかは天国へ行きたいと願う こんなオレだけど
つける薬が売り切れちまった
つける薬が売り切れちまった

つける薬が売り切れちまった

朝の光が差さない部屋を出て、僕はまた地下室に潜りに行く。今日で、終わりだ。
外は気味が悪いぐらいに晴れていて、遠くの山がはっきりと見えた。
曇っていれば良かったのに、と気まぐれを言う。昨日はあれほど空を眺めていたのに、今は眩しくて見えない。


破滅は、待たなくても来る。
回避する術は、死ぬ気で動くだけだ。

誰にも触れられない言葉を復元する作業、それだけ続けていけるならいいのに。




帰りの空は大して晴れてもなかったけど、日が長くなってきたように思った。