断片的な夢

「明日は私の誕生日なの」

繰り返す言葉は雨のよう。

喪失、そう嘯いてみて最初から何も持ってなかったと気付かされる。持っていると思っていた其れは手のひらからするりと零れ、遂には闇に紛れて見えなくなる。照らす光も持っていない。手探りで捜そうにも砂粒を拾い上げてはまた零すだけだ。その繰り返し

失って困ることなんて今更ないけど、失いたくないものもあって、あの子の笑顔が、僕にだけ見せてくれる顔や思いが消えてしまったなら随分と寒々しい生き方をするんだろう。