章魚(タコ)

地球!ふしぎ大自然(NHK)より
追記:id:aglassofwater:20060319にキャプ画を見付けました。
主に冬、島根半島の最北端沖泊地区、日本海の沖合、特に潮目(海流の境目)に謎の「漂流ダコ」が出現するという。
生きてるのが確認されるのすら珍しいというそのタコが島根で多く目撃される理由は、対馬海流隠岐島季節風という三つの好条件が重なったため。
そのタコの名前は、
ムラサキダコ。
全長70cm。普通のタコとは違い、海底には潜まずに、一生海面近くを漂う。
ムラサキダコの祖先は
オウムガイ→
コウイカの仲間→
ヤリイカの仲間→
タコ→
ムラサキダコで、
大まかに説明すると、漂流していたオウムガイが殻を捨てコウイカに、コウイカが海底へ行き素早くなりヤリイカに、ヤリイカが体の色を変える術を身につけタコに、タコが再び漂流を始めてムラサキダコに進化したのだと考えられている。
ムラサキダコの仲間には、
アオイガイ*1
アミダコ
カンテンダコ
等がいる。
どうやって浮き続けているのかというと、体の上の二つの穴から水面で体の中のうきぶくろ(器官)に空気を取り込んで、ぷかりと浮いている。
流木の様なフォルムをして泳ぐムラサキダコは、漏斗(口の部分、貝から出てるアレを想像して下さい)から水を噴き出し推進する。方向転換もお手のもの。
直径5cmの目を持ち視力が良い。
天敵はトチザメやアオザメ等。
ムラサキダコの墨は他のタコに比べて粘り気を持ち、30分ほど同じ形を保つ(囮として使うが見破られる事が多い)
腕の間から厚さ2mm、長さ3mのマントの様な膜を出す*2
膜を広げてエイ、膜を閉じてシイラ(鋭い歯を持ち肉食)等を装ったりする(いわゆる擬態?)。
蜥蜴の尻尾みたいな使い方をして逃げる事もある。
また、膜を流したまま泳いでいる時は、餌のプランクトンを集めて補食するためなのではないか、とする仮説もある。
ムラサキダコ(アオイガイ)の生殖方法は奇天烈で、
それというのもオスは体長わずか2.5cm(アオイガイは3cm)しかない。これはメスのおよそ1/30である。オスとメスの大きさがここまで違う動物は大変稀である*3
オスが小さい理由は、敵に見つかる危険性を減らし、すぐ逃げられる様にするためであると考えられている。
オスは、メスの胎内に「生殖腕」という小さな触手みたいなものを潜り込ませ、切り落とす。腕は切り落とされた後も3週間生き続けるという。
ムラサキダコの子育ては、体の中にゆりかごを持つようなものである。
多くのタコは海底の岩場に卵を産み付け、そこを離れずに卵を守る。
ムラサキダコは白い骨の様なものを体内で作り、それに糸状の粘液で約10万個の卵(直径2mm)を絡めて、抱えている。漏斗で新鮮な海水を送り、卵が腐らない様にする。骨は卵が増える度に伸びるという。
孵化した2mmのムラサキダコの幼体は数ヵ月で成体になる。
子供を産み終えたムラサキダコはその一生を終える。


おまけ
ソデイカ
いつもペアでいる習性を持つ。

*1:名前にカイと付いているがれっきとしたタコ。オウムガイのように殻を持つ。その殻は自分で粘液を固めて作る。厚さは1mm殻は空気を溜めて浮くために必要。

*2:羽衣の様に揺らめくマントを広げた姿はジュディ・オング「魅せられて」みたいだった。

*3:想像してみて戴きたい。男が2mとすると女は60m…巨人どころの話じゃないですよ。