鴇と銛

手を繋いで僕らの今が途切れないように、口笛吹いて僕は寒さに身を預ける。
両手に二人分の温もり。
僕の一歩が君の三歩。狭い歩幅。目線も下。
曲がり角に着いたら君の手を離さなきゃ。
今までの僕はその手に触れていつか離れる時が来るのが怖かった。だけど、明日はいつだって来る。怖がってなんかいられない。
また僕はひとりきりで歩いていく。心で繋がってるなんて綺麗には思えない。願わくばこの手に温もりが欲しい。いつか離れてしまう温もりだとしても、今が確かに存在する事の証となるから。
君の手を握り返せなかった日をもう悔やまない。