月の気流

前に月を見たときは三日月だったのが、見ない間に半分になっている。上弦の月か。

さっきまで降っていた雨の所為か、冷えた空気。こうして秋になっていく。風や匂いから感じ取る。何だろう、何かが淋しい。
俺は秋が好きな筈なのに。夏が大して好きなわけじゃないのに。どうして今年は夏が終わるのが淋しいんだろう。どうして秋が来るのを望んでないんだろう。望めないのだろう。

幸せが終わりを迎えたときのように。
ああ、そうか。気付いたよ。これが、絶望です。
今までのなんか本物じゃなかったんだろうな。

夏の暑さと渇望。
秋の憂いと絶望。

今年は秋を楽しめる気がしない。憂鬱を楽しめる余裕は無いから。
夏が、足りなかった。もっと欲しかった。一迅の風で笑い合いたかった。でも、終わり。