最後の術は この身の中に

まだ陽も出ない早朝から引っ張り出される。
「何やってんの!?行くよ!」
『やだ』
毛布を剥がされ、寝呆け眼で時計を見る。
『まだ4時じゃないか…あ?4時?ポンツカ聴き逃した…』
「何ワケ解んない事言ってんの!行くよ!」
しぶしぶ起き上がり大きな欠伸を一つ。急かされて、5分で用意をする。顔ぐらい洗わせてくれ。
車に乗り込み目を瞑る。途中のコンビニで缶コーヒーを買って飲む。甘すぎる不味いコーヒーで漸く脳も目覚めだす。
悪態を吐いた自分の事が最低の人間に思えて嫌になった。
母親の絵を描いてあげたら喜ばれた。