めぐりくるはる
冬は苦手だ。寒くて辛くて侘びしくなるからだ。
かといって、春も苦手だ。皆、陽気で楽しそうで疎ましく、妬ましいからだ。
しかしながら、夏も苦手だ。日差しや暑さで思考が纏まらずに厭わしくなるからだ。
それでもやはり、秋も苦手だ。吹く風や木々の色などに理由もなく切ない気持ちを味わわされるからだ。
けれど日々は過ぎてゆく。
当たり前のこと。解り切ったこと。
だから、好きになりたい。
冬の寒さが好き。
春の陽気さが好き。
夏の暑さが好き。
秋の切なさが好き。
そう、好きになれば何事も幸せだ。
望むより願うよりももっと早い。
早く愛すべきものを見付けてくれ。