響く雷鳴

夕立ち。
空から堕ちる無数の水の一粒。

窓ガラスに映るその白い頬を見た刹那、記憶は過去へと遡る。

悩みなき苦悩のときを僕はどれくらい過ごしたのだろう。
果てなき無能なる夢想の果てに死のうなんて幾つ思ったりしたんだっけ。
今は何事も無かったかのよう。幸せと呼んでもいい。
独りで泣いた時間はもう思い出の中。

難しいこと考えても何にもならないことは知ってる。
でも、君みたいに器用になんて出来はしないから、こうするほかなかったんだ。

まだ笑える。
大丈夫。

何度も何度も言い聞かせた言葉がまだ僕を支えてくれている。

頬を伝う雨が泣き虫な僕を誤魔化してくれた。